(旧キャリエル看護※現キャリエルメディ2022年8月号より)文:梶原拓真、キャリエルメディ編集部
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看護とリハビリ キャリエルメディ2022年10月号(書籍版)
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患者さんのケアや生活のサポートをスムーズに行うために重要な「多職種連携」。
特に患者さんのADL向上が目標の場合、理学療法士との連携は欠かせないですよね。
今回の記事では理学療法士のキャラクターや看護師と理学療法士のお互いのイメージなどをまとめてみました。
「理学療法士」って?
理学療法士(PT)は、病院や介護施設、訪問リハビリテーションなど様々なところで働き、患者さんの身体機能や動作の改善を目指す仕事です。
働く場所や担当する患者さんは違っても、理学療法士の基本的役割としては生活動作の基礎となる「起居動作」や「歩行動作」を主に専門としています。
骨や筋肉について詳しい人が多く「筋肉マニア」といわれることは少なくないです。
自身もスポーツなどでケガをしてリハビリを経験した人が多く、この理由で理学療法士を目指した人が多くいます。そのため、理学療法士はアクティブ、スポーティな人というイメージがあるでしょう。
専門職がゆえに、看護師からみて、理学療法士は時に話しやすく、時に融通がきかないというエピソードが思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。

チームの一員として
ご存じの通りリハビリチームのメンバーには、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3つの職種があります。
その中で、もっとも資格人口が多いのが理学療法士です。そのため、一般的にはリハビリというと理学療法士の行っている運動療法が思い浮かぶと思います。
施設によって配置されている人数も異なり、回復期リハビリテーション病棟がある病院では最も多く配置されています。
また、急性期、回復期、慢性期によって、多職種チームとしての距離感は大きく異なるでしょう。
部署として、回復期リハビリテーション病棟では病棟一体としてリハビリチームも統合されているところもありますが、それ以外ではリハビリテーション部として独立した運営をしているところが多いようです。
看護師ならだれでも感じたことがあると思うのですが、患者さんの生活全体を見通す看護の視点と、専門家としての視点がぶつかることもあります。
逆に共通の目標に向かって、協力し素晴らしい結果を出せたこともあるのではないでしょうか。
お互いのイメージ
理学療法士からみた看護師のイメージ【ポジティブなイメージ】看護師さんはすごく優しい。美意識高めの人多い。どんな先生に対しても物おじしないのはすごい。夜勤明けでも元気な人が多い。【ネガティブなイメージ】業務の幅が広くて大変そう。不健康な食生活している人が多い。忙しいと、口調が荒くなる。ちょっと待って下さいが多い。気が強い人が多い。
看護師からみた理学療法士のイメージ【ポジティブなイメージ】患者さんとよく話していて、看護師が把握できていない情報を教えてくれる。患者さんにあった歩行補助具を提案してくれるので、病棟でのADLが上がって助かる。退院調整に必要な情報を共有してくれるので、スムーズに調整ができた!【ネガティブなイメージ】プライドが高い人が多い印象。自分のセラピーに自信あり、意見をあまり聞いてくれない。専門知識が豊富だか専門用語で話される事が多いため伝わらない事もある。理学療法士同士でも対抗意識がある? ユニークな人が多い印象だが、冗談なのか判断に困るブラックジョークが多い。
これはキャリエル編集部で調べたアンケートの結果です。アンケートは大まかなイメージとしてお互いの印象を素直に書いてもらいました。
いかがでしょうか?ポジティブな物もあればネガティブなものもありますね。理学療法士の看護師へのイメージは「優しい」、「物おじしない(強い)」、「忙しそう」、「大変そう」といったものです。
看護師からみた理学療法士のイメージは「見えていない情報を教えてくれる」専門家ですが、「プライドが高く」、「こちらの意見を聞いてくれない」ということがあるようです。
急性期、回復期、慢性期で距離感の違いはあったのですが、ここでは割愛いたします。
もちろんこれは、一部の意見ではありますが、なかなかチームとしてコミュニケーションをとることが難しい関係になることもあるようですね。
お互いを理解するために
理学療法士が「リハビリ場面を見に来てください」ということを聞いたことがあると思います。看護師としては忙しくてそんな時間とれない!と思ったこともあるのではないでしょうか。忙しい中ですが、もし訓練場面を見たことがなければ、病棟での訓練の様子を見にいってみるのはどうでしょう。
理学療法士の希望を聞いてみると、新しい発見があるかもしれません。看護師の視点で訓練を見た上で、訓練が病棟での患者さんへのケアや生活にどのように活かせるのかを理学療法士と共に考えてみるのはどうでしょう。
その事が、病棟生活の場での訓練、さらには患者さんが、退院したのちの生活を見据えた訓練となってゆくと良いですね。
文:梶原拓真理学療法士として臨床で培った経験や知識を活かし、医療分野の記事執筆を得意とする新進ライター。病院のコラムや看護雑誌の編集協力、セミナー団体のメディカルメディアでの執筆など多岐にわたり活動中。https://www.twitter.com/takumawriter
イラスト:@mattarihirne(twitter)